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方策C

他の省庁が保有するデータを活用する。

気象庁、運輸省港湾局、建設省河川局などが現に保有する波浪観測装置で、本システムに取り込み活用できないか調査検討する。これは主として省庁間の協力体制作りと通信回線の問題、観測方法の整合性を解決すれば可能に見える。これが実現すれば、波浪データの相互活用ができる上、海上保安庁が独自の数値波浪予報モデル(方策D)を開発した場合には、効率的にデータ源を増加できる利点がある。

 

方策D

独自の数値波浪予報モデルの開発

海上保安庁灯台部が作成した報告書「リモートセンシングに関する調査研究報告書(7)」に…沿岸波浪モデルの最適メッシュの検討を行う。…としている。

独自の数値波浪予報モデルが開発可能なら、船舶気象通報のため設置されている気象観測所に、必要とされる沿岸海域を覆う数値波浪予報モデルを生かす重要な観測点としての意味が付加される。また、海上保安庁以外のデータを取り込むなどして、波浪の沿岸観測網が完成することになろう。

 

アンケートなどによるユーザーの要望を点検すると、沿岸における詳細な波浪情報のみではなく、情報提供の時間間隔、特定海域と地点等、船舶の航行安全を図るという視点での情報の把握・提供が求められている。波浪情報は船舶気象通報の一環としてユーザーの要求に十分応えたものとなっていなければならない。

 

波浪の推算と予報についての概念を明確にするため、光易(11)は次のように記述している。…地形や気象条件を与えて海洋波を計算することを波浪推算という。過去の与えられた気象条件のもとに波浪を計算することを波浪追算(wave hindcasting)、未来の気象条件を予測しそれを用いて波浪を計算することを波浪予測(wave prediction)あるいは波浪予報(wave forecasting)という。したがって、…波浪推算は、波浪追算と波浪予測とを一括した用語である。…

 

周知のように、世界各国で使用されている波浪推算法は、大別してSMB(Sverdrup,Munk,Bretschneiderの3人の頭文字)法に代表される有義波法と、現在ではあまり使われていない、PNJ法(Pierson,Neumann,Jamesの3人の頭文字)に代表されるスペクトル法がある。これらはいずれも時間的・空間的に定常風が吹き続き平衡常態に達したときの波高・周期と、風速、吹送時間、吹送距離を基礎にしている。風の場が時間的、空間的に変動している場合には、補正方法が考案されてはいるが容易ではない。

そこで波のエネルギー平衡微分方程式を用いた波浪推算を行うために波浪の数値モデルが1960年代に提案された。現在でもモデルの改良が盛んに行われている。SWAMP(Sea Wave Modeling Project)は数値波浪モデルを次の3種類に分けている。

(1) DPモデル(Decoupled Propagation Model);気象庁で当初使用されていたMRI

 

 

 

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